恋するシステム





学校までの道。

チューブをくわえながらぽてぽて歩いてた。

学校までは15分くらいだし

あたしはアンドロイドだから、疲れるとかはない。

動いたらエネルギーが消費されるけど

それは人間だっておんなじでしょ。

あたしはぽてぽて歩く。

角を曲がって坂をのぼって

今度は下って。

ぽてぽて歩く。

ちゅーって

『燃料』飲みながら。

ちなみにこの『燃料』なんだけど

お父さんもお母さんもよく考えてくれてて

リンゴ味とか
レモン味とか
イチゴ味とか

いろいろある。

今朝のは新作みたいだ。

さくらんぼ味。

うん。甘くっておいしい。

学校が近くなると、建物も増える。

ストアの大きなウィンドウに、あたしが映る。

真っ黒くて長い髪に

ぱちっとしたまんまるの目。

胸は、ないけど……

でも、身長に見あった分でスラッとした体。

成長しないっていうのはちょっとあれだけど

それってイコール、好きな姿でいられるってこと。

あたしは結構、自分の見た目は好きだったりする。

気に入ってる。

ボディをデザインしてくれるお母さんには感謝感謝だ。
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