幼なじみ〜first love〜
ケンちゃんの部屋のドアを開けると、部屋の中は、ルームライトで、ぼんやりと薄暗いオレンジ色の光に包まれていた。




壁を背にして寄りかかって座り、頭から身体全体を毛布で包まり、膝に顔をうずめる美々ちゃんの姿があった。




「美々ちゃんっ!よかった…無事で…ずっと探してたんだよ?」




そう言って、あたしは美々ちゃんの身体を包み込むように抱き締めた。




「…触らないで……っ…」




細く震える…何かに怯えているような美々ちゃんの声が聞こえた。




「美々…ちゃん…?」




抱き締めたらわかった。毛布に包まった美々ちゃんの身体も、小さく小刻みに震えていた…。




「美々ちゃん…どうしたの…?」




ゆっくりと身体を離し、俯く美々ちゃんを見つめた。




「…絢音の…顔なんか…見たくない……っく…っ…うぅ…」




いつも明るくて、強気な美々ちゃんが泣いてた。


苦しそうに、しゃくりあげて泣いていた。




「……っ…ぅぅ…どっか行って……」




一体…美々ちゃんに何があったの…?




「ねぇ…美々ちゃん…何かあったの…?あたしに話して…?」




あたしは、動揺していたと思う。


思えば、初めて見た。




いつも強気で、ハッキリ物事を言う、明るくて元気な美々ちゃんの泣いている姿を。




一体、何があったっていうの…?




「絢音っち、こっち来て…?」




そう言って、ケンちゃんが部屋のドアの所で腕を組んで立っていた。
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