幼なじみ〜first love〜

「蒼……」




俺の腕の中で聞こえる小さな声。




「……絢音」




ずっと、こうして抱きしめていたい。




絢音の香りや

絢音のぬくもり




俺の体中に

刻み込むように……




こんなにも

愛してると




忘れないように……




「帰ってきたら…おまえのこと…世界一、幸せにするから………」




俺は、絢音の耳元で囁いた。




「蒼……」




俺はそっと絢音の身体を離し、電車に乗り込んだ。




「蒼……っ!!」




プシューーーッ…―――




ドアが閉まり、涙を流す絢音の顔を見つめた。




電車がゆっくりと…走り出す……




「絢音っ」




聴こえるはずないのに……




「絢音……っ!」




俺は…



何度も何度も

名前を呼んだ




「…あや…ね…っ……」




必死に走って俺を追いかけてくる絢音を見つめ、俺はドアにもたれかかり、涙を流した。
< 350 / 1,010 >

この作品をシェア

pagetop