幼なじみ〜first love〜

自分に負けそうになる時は、左手の薬指を見る。




蒼からもらった指輪を見て


蒼との未来を信じて




夜空に輝くあのふたつ星を見て




今日も遠い蒼を想う…――。




「…あたしも……蒼が好きだよ」




電話で、あたしも蒼も




何回“好き”と言ったかな…




二人が“会いたい…”と

一度も言わないのは




会えない事をわかっているから……




距離が離れていると、あたしは言葉を選んでしまう…。




あたしは自分の弱い部分を蒼には、言わなくなった。




逢いたい


淋しい




何一つ言えなかった




蒼の声をただ聴いてた




ただ…それが強さなんだと、あたしは勘違いしていた。




「うん…またね」




電話を切り、あたしは夜空を見上げた。




星も見えない

冬の寒空……――




弱さの中に生まれた

一握りの強さ




それは悲しいほど

脆くて




あたしは罪を犯した……―――。
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