幼なじみ〜first love〜
“絢音……”




悲しそうな蒼の声…たぶん傷つけた。


久しぶりに声が聞けて、嬉しいはずなのに…


楽しい話をしたかったのに。今日のあたしじゃダメだ。




泣きそうになるのを堪えたら、携帯を持つ手がかすかに震えた。




「ごめん…また電話するね」




このままじゃ、ケンカになる。




“…絢音…好きだよ…”




蒼の気持ちも、わかってる…わかってるのに……




「……またね」




プーッ…プーッ……――。

自分から電話を切ってしまった。




蒼はあたしを

信じてくれて



あたしも蒼を

信じてる……




けど……




携帯を握り締めたまま、その場にしゃがみこんだ。




好きだって

何度言ってくれても




……逢いたい




逢えない距離に

慣れたくない……




ホントは

不安だよ…寂しいよ…




強くなりたいって思ったのに……




ごめん…蒼
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