幼なじみ〜first love〜
――…20才、
懐かしい人から連絡があって、いま一緒に街を歩いている。




「……やね?絢音っ?」




呼ばれていたことに気づかずに、彼はあたしの顔を下から覗き込む。




「…えっ!?あぁ…ごめん」




「何ボーッとしてんねん。…着いたで?」




目の前には、素敵な高級レストランがあった。




「…おしゃれ〜!遊也がこんなお店を知ってるなんて…意外〜」




遊也は、得意気な様子でフッと鼻で笑う。




「アホか…俺やで?」




「…はいはい。自称ロマンチスト遊也くんでしたね」




「ムカつくわ〜なんやねん」




顔を見合せて笑い合った。




高校を卒業したぶりに、遊也と再会した。




「…いらっしゃいませ」




遊也が予約してくれていた高級レストランに入ると、白いシャツに黒の蝶ネクタイをバッチリとキメたボーイさんが、あたしたちを席まで案内した。




「…ねぇ…ここ間違いなく高いよね?…あたしお金足りなかったらどうすんの……」




「今日は俺のおごりやって言うたやろ?」




「こんな高そうな店おごってもらうの悪いよ…」




「失礼致します」と一礼したボーイさんが、二つのグラスに赤ワインを注いでく。




「ごゆっくりお楽しみくださいませ」




あたしは、ボーイさんに軽く会釈をした。




こういうお店って慣れてないから…緊張するし、どうしたらいいかわからない。




「んじゃ…久々の再会に」




そう言って遊也は微笑む。お互いに胸の辺りでワイングラスを持った。




「…乾杯っ!」
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