幼なじみ〜first love〜
「栞ちゃんにいわれなくても…自分でもわかってるよ…そんなの」




ずるいよ…あたし


今までの関係が

壊れるのが怖くて




だって今は




理由がなくても

そばにいられるの




幼なじみだから

一緒の家で暮らしてるから




でも…蒼が誰かの彼氏になるなんて


嫌だから




もう自分の気持ちから


逃げちゃいけないんだね




「アンタには、頼まない。そのかわり、容赦しないから…」




そうあたしの耳元で囁き、あたしの耳をかじった。




「…イタッ!」




かじられた左耳を押さえ、栞ちゃんを思い切り睨みつけるけど、本当は泣きそうだった。




「栞ちゃんって芸能事務所に入ってるんだってね…噂で聞いたよ」




震えそう声を必死に堪えた。




「…だから何?」




「…イイ女優さんになれるね、きっと…」




あたしだって

負けない



顔もスタイルも

何もかも




栞ちゃんに勝てなくても




たったひとつだけ




蒼を想う気持ちは

誰にも負けない




「アンタ、何が言いたいわけ?」




「だって…昨日の栞ちゃんとはまるで別人だもん…。演技うまくて…びっくりしちゃった」




あたしの言葉を聞いて栞ちゃんは、フッと息を噴出し、甲高い声で笑い続けた。




「はぁ〜可笑しい。アンタさぁ、栞のこと舐めてるみたいね?」




「…舐めてないよ……あたし褒めたのに」




「宣戦布告ってわけね?…見てなさい?栞、本気出すから…」




そう言って栞ちゃんは、あたしの肩にわざとぶつかって、その場から去っていった。




どうしよう…宣戦布告なんて…
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