幼なじみ〜first love〜
テーブルの上に、コップを二つ置いて、俺はソファーに腰かけた。




「なんや?蒼のことって…」




俺は白々しく答えた。




「遊也…何で俺に、蒼が日本に帰って来てること言わなかった?」




ケンは、静かな声で寂しそうに言った。




「遊也さぁ、俺に今まで嘘ついてたことになるよな?」




頭が痛い……




俺は、座ったまま両手で頭を抱えた。




「もう何年も…俺が行方不明の蒼を心配しても、遊也は、何も知らないフリしてたんだからな…」




「…俺を責めに来たんか?ほんなら、またにしてくれや…俺も疲れてんねん…」




俺は、ソファーに寝転んだ。




「ごめんね?遊也…。ケンも言い過ぎだよ…」




美々は、ケンの腕を両手でギュッと掴む。




「けどなぁ…っ!」




ケンは、美々の手を解き、立ち上がった。




「…おまえら二人が知ったからって…何やっちゅーねん。何もできへんよ」




俺かて

悩んだんや……




眠れない日も続いたんや




蒼にしてあげられることなんて




何もあらへん




絢音を
幸せにすることが




蒼との約束で




蒼へのせめての




償いやったんや……






それさえも

できんかったんや………
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