幼なじみ〜first love〜
まるで生き地獄だった。




何故あんなことをしてしまったのか…




蒼と共に、すくすく育っていく絢音ちゃんを見る度、絢音ちゃんに申し訳なさでいっぱいになった。




私は現実から目を逸らすように、働きに出かけた。




朝から晩まで、全てを忘れ去るぐらいに働いた。




蒼をひとりにしてまでも………




そんな蒼を、瑠璃子さんは気にかけてくれた。




瑠璃子さんの優しさは、また私を苦しめた。




罪の意識の中、

蒼と絢音ちゃんが大きくなるにつれて、


涼介さんと瑠璃子さんは、夫婦だけれど、恋人のように…毎週デートに出掛けたり、近所でも有名なほど、仲良しな夫婦になっていた。




私は、自分が犯した罪と嫉妬、孤独の中、ただ苦しい毎日が続いた。




そんな中、夫がアメリカへの転勤が決まる。


涼介さんから離れたら、私は苦しさから逃れられるかもしれないという希望を持った。




しかし逆に、距離は、

私の涼介さんへの想いを、深く感じさせたのだった。”




――…これが、母ちゃんがアメリカに越してきたばかりの日記に書かれていた内容だった。




それから母ちゃんは、心の病にかかり、




頭もどんどんおかしくなって…




“死にたい”




そんなことを言う母ちゃんに、俺は…




“死にたきゃ勝手に死ね”




そう言い残して、
俺は絢音に会いに日本へと行ってしまった。




たぶん…もう

母ちゃんの精神状態から




自分でも自分がわからなくなってたはずだ




最後に信じられるものは、自分の気持ち…

涼介さんへの愛だけだったのかもしれない。




母ちゃんが自殺する直前に書いたものだろう…




日記の最後には、震えた字で、こう書かれていた。






“涼介さん

生まれ変わったら

あなたと一緒になりたい”
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