幼なじみ〜first love〜
「ほら…できたで?」




遊也がミルクココアの入ったカップを、目の前のテーブルに置いてくれた。




「ありがとぉ…いただきます」




あたしがカップを手に取ると、遊也もソファーに座る。




「遊也…もう夜中の3時半過ぎだよ?寝ないと明日仕事でしょ…?」




横を向くと、遊也の顔は、幸せそうだった。美味しそうにイチゴ牛乳を飲んでいる。




「……遊也…変わんないね。そんなにイチゴ牛乳が好きですか…」




「…イチゴ牛乳作った人に感謝やな…まじで天才やな…」




「……あっ…そぉ」




大人になっても

無邪気な遊也は




そのままで……




遊也の優しい笑顔を見ると

また涙が出そうになった




「俺、明日は10時出勤やから…朝ゆっくりやし。気にせんでええよ…」




遊也の優しい言葉が


あたしの胸を苦しくさせた




「…遊也ぁ…ごめんね…っ」




「絢音…おいで…」




あたしは隣に座る遊也に、思いきり抱きついた…――。




あたしの小さな身体を

遊也はそっと




包み込んで




止めどなく流れる涙を




気にもせずに


受けとめてくれた




遊也を好きになれたら


どんなに幸せだろう……




何であたしは


蒼が好きなんだろう……




こんなに
あたしを愛してくれる人は




きっと

どこにもいないのに……―――。
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