幼なじみ〜first love〜
「………遊也、久しぶりだな」




病室にやってきたのは、俺の親父だった。




「せやから…何しに来たんや…。出てってくれへんか…?」




今さら…どの面さげて

来よったんや…




「私は…ここの病院の医師だ」




「俺のは担当外やろ…?おまえの専門は違うやんけ」




俺は、親父が、失声した沙羅の担当医だったことを知っていた。




「…遊也……おまえの病気のこと…聞いた」




そんな顔したって


おまえを親父だとは

思ってへんねん




「おまえには…関係ないやろ」




俺は親父から目を逸らした。




「智也と…同じ病気なんだな…」




せやから今さら

…心痛な顔して



親父面なんかすんなや




智也の名前

気安く呼ぶなや…




「遊也…」




俺に家族はおらん




「遊也…大丈夫か…?」




大丈夫なわけ

ないやろ…?




「…おまえに、俺が死のうが生きようが、関係ないやろっ!!」




怒鳴り声は、病室に響いた。




「…いっ…ぅう…」




頭が痛み、俺は両手で頭を抱えた。




「遊也…っ!」




親父が俺に近寄り、顔を覗き込む。




「俺に触んなや…!」




俺は親父の手を振り払った。




「大丈夫や…ちょっと痛んだだけや…」
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