―愛彩―
和人様はそのまま入院されました。

病室の中で、毎日を過ごす事となられたのです。

和人様には、お見舞いの人々がたくさん訪れてきました。

私にとっては、ご自宅から病室に移っただけで、客人のお世話をさせて頂く事自体は、何も変わりがありませんでした。

優花さんもお子さんを連れて、足繁く病室を訪れるようになりました。

以前にも増して、深い絆で結ばれた血縁。

和人様は、優花さんを優しいまなざしで見つめておられました。

優花さんのお子さんの事も。

孫を見る、おじいちゃんのような気持ちであったのだと思います。

和人様ご自身は生涯、独り身を通されておりました。

私もまた、一度も結婚する事なく、独り身のまま・・・。



――末に血脈を残すことなく散る命。


それは罰当たりな生き方なのでしょうか。

女として、この世に生まれながら。


私はただ和人様に、この身を、心を、捧げ続けただけなのです。


和人様の傍で。
< 48 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop