女子高生夏希のイケメン観察記
受付で面会の許可を申請したら、相変わらず仏頂面の医師が、わざわざ出てきてくれた。

「お母様の容態、今日は安定していると思うんだけどね」

「そうですか」

型どおりの挨拶をすませた後、彼はやや疲れた調子でそう言った。

真っ白な病院の中を、どこまでも歩いていく。
心が迷子になりそうなたびに、繋いだままの智さんの手をぎゅっと握り締めていた。

「夏希ちゃん、なかなか顔を出さないと思ったらこんなに素敵な彼氏とラブラブだったんだねー」

はぁ?
発言も適当なら、言葉のチョイスも若干旧い。

私はなんて答えたらよいのか分からずに、智さんを見上げた。

智さんは優しい眼差しで――多分、捨て猫を温かく見守るような眼差しで――私を見ていた。


た、確かに。
素敵な彼氏に見えなくも無い。


っていうか、そうだったら良かったんですけどねぇ、本当に。
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