女子高生夏希のイケメン観察記

炎天下の中、智さんの隣を歩く。
……えーっと、何処まで？

「ねぇ、智さん。
　何処でお昼食べるんですか？」

はたと立ち止まって聞いてみる。

「……え？
　夏希ちゃんが何処かに連れて行ってくれるんだと思ってた」

にこりと零される甘い笑顔は、それはもう極上の一品ではありますが。
……私よりは、絶対に、智さんの方がこの辺りに詳しいですよね？

違うのかしら。

「えっと。
　私、このあたりのお店って前久遠さんに連れて行ってもらったバカ高い喫茶店くらいしか知らないんですけど……」

だって、それ以外ほとんど仕事で缶詰にされてるんだもんっ。

「ああ、久遠お薦めの喫茶店ね。
　それなら、味は保証付だろうな。
　お金なら、俺が持ってるから心配しないで。
　ランチとかやってるのかな？
　とりあえず覗いてみてさ、駄目ならどっかお店紹介してもらおう」

……はぁ？

私は目を瞠る。
智さんって、意外と発想が自由なんですねっ。

喫茶店でわざわざ別の店を紹介してもらうなんて……。