女子高生夏希のイケメン観察記
13.愛しの彼は「オカマ好き?」
翌日は、珍しく智さんと二人で花屋に出ることになった。

絶対にこの花屋、『和服の美形店員に会える店』として売り出したほうが流行る気がする。
ううん、もう流行ってるのかもしれない。

今日も朝から、いそいそと、いろんな方が花を買いに来て、智さんを見てはきゃぁきゃぁ言ってるもの。


いっそ、奏さんも和服着ればいいのになー。

想像の中で奏さんは、振袖を着こなして艶やかに微笑んでいた。
どうして、男物の着物が想像できないのかよくわからないけれど。
似合ってるんだから、仕方ない、か。



「ただいまー」

爽やかな声で我に返る。
相変わらず、甘い笑顔が印象的な奏さんだ。

久遠さんも一緒にいる。

「二人でランチにでも行ってくれば?」

うーっそ。
私はその優しさ溢れる発言に目を丸くした。
いつもは奥の部屋で、急いでそうめんやパンを食べるだけの時間しかくれないくせに……。

「それとも、なっちゃんは休憩なんて不要かな?」

私の頭の中でものぞいたかのように、奏さんの笑顔にどことなく怖いものが混ざっていく。

ぶるぶるぶる。
私は慌てて首を振った。

「いってきまーすっ」

どさくさ紛れに智さんの手を掴んで、二人の脇を通り過ぎた。
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