女子高生夏希のイケメン観察記
もし、この話を久遠さんから聞いていたら、荒唐無稽な作り話だと感じたと思う。
……もっとも、久遠さんの迫力に負けて真偽は追求できないだろうけど。

もし、この話を奏さんから聞いていたら、ファンタジー系の作り話だと感じたと思う。
『それで、次の仕事は何をしたら良いんですか?』って。
さくっと流すことが出来たと思う。

でも。
今、「霊を倒しましょう」なんて言ってるのは。

私がつい先ほど一目惚れしたばかりの、和服の似合う(彼はここに帰ってきて、私が夕食を作っている間にお風呂に入って浴衣に着替えたので、今は花火でも見てきたかのようなラフな浴衣姿)素敵な彼が真顔で言っているのだから。

冗談ですよね?

なんて、軽々しく言うことも出来なくて、困る。


「あ、その顔は霊なんているわけないじゃないって顔だね」

幸い、智さんは人の気持ちを察することが出来る方で助かった。

「だって、霊って言われても。
 智さんは信じたんですか?」

「最初は半信半疑だったなー、確かに。
 だけど、ある種の日本刀を手にすると、霊を切ることが出来るんだ」

……は、はぁ。

オカルトじみてきた話に、どう対応したらよいのか見当もつかない。
< 61 / 163 >

この作品をシェア

pagetop