ベイビーベイビーベイビー
 

 こうして真理江は、いつしか祥吾との結婚を望む事はしなくなっていた。

 祥吾の子供が欲しいと夢に見た事もあったけれど、その思いにもそっと蓋をした。


「祥吾と二人で寄り添うように生きていければ、それでいいじゃない」
と 虚しさを心の奥底に閉じ込めたとき、真理江は自分の幸せを感じ、やっと微笑むことが出来た。

 それ程に、今の真理江は祥吾を必要としていた。


 だからであろうか、祥吾が帰った後 再びやって来る夜の静寂に、真理江は無意識に脅えた。



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