ベイビーベイビーベイビー
 

 その様子を見て、

「入院の用意なら私が揃えて持って参りますから。
 お義母さんは祥吾さんの側にいてあげて下さいな」

 そう申し出たのは、綾乃の母であった。

「私たちがお手伝いできることなど限られておりますもの。
 どうかここはお任せ下さい」


 今朝になり祥吾の叔父にあたる男性も駆け付けていたのであるが、やはり入院の用意などは女性でないと分からないものが多い。

 その申し出は、近しい女性の親類が東京近辺にいない祥吾の母親にとって、本当に有難かった。


 それに祥吾はまだ手術を終えたばかりである。
 今は例えそれが僅かな時間であったとしても、目を離す事が不安でならなかった。

 そう考えると、やはりここから離れる事は怖かったのだった。


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