ベイビーベイビーベイビー
 

「あ、わたくし、×××自動車の安藤と申します。
 実は、先日古澤様からお車の事でご相談を承っていたのですが、先日からどうしても連絡がつかなかったもので、大変厚かましいとは思ったのですが、お勤め先としてこちらの番号を伺っておりましたので、お電話させて頂いた次第なのです」

 冴子が控え目にそう説明すると、相槌を打ちながら聞いていた男性は、なにやら妙に納得した様子であった。

「また明日掛け直させて頂きます。古澤様によろしくお伝え下さいませ」

 冴子はそう言って明日への布石を敷き、ここは電話を一度切る事にした。


すると、

「あっ、あの…! あまり詳しくは申し上げられないのですが、古澤は長期で休暇をとっておりまして、明日だけではなく当分はこちらには来ないんですよ。
 ですからご家族の方にご連絡された方が早いと思います」
 
 その男性社員は冴子に、明日どころか当分の間、祥吾の出社予定がない事を告げた。



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