ベイビーベイビーベイビー
エントランスに掛けられた時計を見れば、昼2時を過ぎた頃。
出掛けるには少し遅めではあるが、部屋に戻った真理江は、少し明るめの化粧をほどこし、カジュアルなシャツワンピースに着替えると、このDMをよこした店へというわけではないが、とりあえず都内にあるデパート街へ出掛けてみることにした。
マンションから一歩外に出ると、想像よりも日差しが強く、それは真理江を一旦日傘を取りに再び部屋まで戻らせるほどだった。
しかし空気は乾いているのか、汗ばむ程の暑さでもなくて、この心地の良い時間をこれ以上家で過ごす事にしなくてよかったと、真理江は心から思った。
電車を乗り継ぎ、目当ての駅で降りた真理江は、人々の歩みの流れに乗り、デパート群の並ぶ方へと向かった。
ワンピースの裾を風に翻しながら、颯爽と街を歩くその凛とした姿は、計算されていない風情も加わって、やはり美しかった。