ベイビーベイビーベイビー
「いや、僕はたまたま居合わせただけだから。
それに小林さんの意外な一面が見られたし、楽しかったよ。
立ったまま寝ちゃうとかね」
佐竹は昨夜の事を思い出しながら、何やら可笑しそうに「ふふふ」と意味深な笑みで応えた。
それを聞き顔を真っ赤にした真理江は、
「――本当にすみません」
と、消え入りそうな声で答えるのが精一杯の様子であった。
佐竹は、抱き上げた真理江の身体が然程重くなかったことも伝えようかと思ったが、それを言えば真理江が益々落ち込む事になるであろうと止めておいた。
そして、飲み込んだ言葉を、
「でもさ、やっぱり女性が夜中にふらついているのは危ないと思うんだ。
だからもう、あんまり飲み過ぎないほうがいいよ!」
と小言めいた言葉にすり替えた。