ベイビーベイビーベイビー
 

 しかしその申し出に、真理江は

「いいのよ、冴子。
 冴子は有給もとらないで仕事をしていたんだから」

と、両手で冴子を制止するような仕草をもって拒む姿勢を見せた。

 昨夜からの事もあり、さすがに甘えすぎだと思ったのだろうか?

 けれど、

「本当にいいのよ、私は会社で仕事しているのが一番なの。
 連休と言っても何もすることがないし、家に居たって退屈で仕方がないんだもの。
 ここは私にする事をくれるから、本当に助かるのわ」

と冴子は心の声とも感じられるような、そんな面持ちをもって沁々と真理江に応えた。



 それを聞いていた後輩の女性事務員たちが、何やら顔を見合わせている。

 それに気付いた冴子が、すかさず

「なに?」

といった表情で見返すと、後輩たちは慌て、

「いえ、何でもないです!」

と、逃げるように再びデスクに向かった。


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