ベイビーベイビーベイビー
 
 
「えぇっ!」

 真っ先に声を上げたのは、真理江ではなく、真理江の上司である課長の本多であった。


 そして、海外広報を担当している部長にちらちらと視線を送りながら、

「いや、小林君は国内主要取引先の重役から随分可愛がられていましてね――
 突然彼女にいなくなられると、うちとしてもかなり困るんですよね。

 それに内々の話ですが、小林君の昇進の話も出ていないこともなくてですね。

 この時期に海外への異動はちょっと……」


弱腰ながらも、真理江のアメリカ行きに渋い表情を見せた。


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