ベイビーベイビーベイビー
 

 しかし真理江は休む時間もままならず、新たに自分に与えられた課題と向き合うことを余儀なくされていた。



 それは午後から行われた会議での事である。

「小林くん。
 君、今度アメリカにいってみないか?」

 その提案は、この会議に同席していた鈴木という取締役の口から突然発せられた。

 といっても、鈴木はこの会議でこれを伝えるために参加していたのであるから、真理江やその周りの者以外にとっていは別段突然の事でもなかったのであるが。


 とにかくそれは真理江にとって、予想だにしない突然のオファーであった。


 どうやら秋の人事異動で、長くアメリカに赴任していた広報の一人が日本に戻るようで、代役の第一候補として、真理江が選ばれたようであった。


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