堕天使の涙
命の値段
私の罪は果たして本当に償う事が出来たのだろうか?

あの時、刑務官は私によく頑張って罪を償ったと言った…。私の犯した罪は償い、消えてしまったのだろうか?

いや、罪が消えて無くなるなどという事は無いであろう。彼等や社会の中で記憶が薄れ、ただどちらでも良くなったというだけの事なのだろう。

私と関係者の間ではどれだけ年月を重ねてもあの事実、罪は消える事も無く、常に日常の隣にあり苦しみを与え続けるのであろう…。

あの時、あんな事をしなければという気持ちが無いと言えば嘘になるが、あの時の私は他の選択肢を探る事すら考えず、これ以外には手段が無いのだと、絶対に後悔はしないと心に誓い罪を犯したのだ。


後悔はするまい…。


しかし、あのフロントガラスからゆっくり消えて行くあの男性の表情。

夢に見た日はやはり自己嫌悪の念に苛まれ、何もかもが嫌になる。

あの時のような過ちは…もう二度と…。
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