[短編集]恋花
卒業式すべてのプログラムを終え、教室に戻ると、今度は担任の先生から卒業証書を受け取る。
先生は、ひとりひとりに声をかけながら、卒業の瞬間をかみしめていく。
いよいよ私の番になり、教卓の前に行き、先生と向き合った。
「卒業おめでとう」
声をかけられ、こくん、と頷く。
何年間も先生の言葉をシカトし続けてたせいか、どうしても、声を発することに抵抗してしまう。
「今日、アユムが卒業式に来れてよかった。3年2組、みんなで卒業式に参加できて…よかった」