メトロノーム 【完】
灰皿から目をあげたこうちゃんは、私の視線に気がつき、そのまま視線がつかまる。



ドクン ドクン



店内にかかる洋楽なんて聞こえない。

聞こえるのは、自分の心臓の音だけ。


ふいにこうちゃんが笑い、手が私の口元に伸びる。

「クリーム、ついてる」

そう言う顔は、愛しいものを包むような、あったかい笑顔だった。
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