メトロノーム 【完】
買い物帰り、大樹くんが車で送ってくれることになった。

後部座席に乗り込むと、私に合わせて里菜も隣に座る。

そして私は、昨日あったことを少しずつ話し出す。

気がつくと涙が溢れていて、里菜が肩を支えてくれていた。



「孝介はさ」

話終わると、ふいに大輔君が口を開く。

「七海ちゃんが、元彼が好きなの知ってた。
気付かせてやることができるのは、俺しかいないって言ってた。

でもきっと、そのキスは孝介の最後の賭けだったんだよ。
七海ちゃんが元彼のことを思い出さなかったら、孝介が幸せにする気でいたんだと思う。

あいつは、そういうやつだよ。
こうなることを分かってて、今まで行動してたんだと思う。

あいつは、七海ちゃんと一緒に居れて幸せだったと思うよ。」



大樹くんの言葉は、私の涙腺をさらにゆるめた。
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