調べの記憶〜春宮秘話〜

彼の持つ竪琴と同様に、良く響く声だった。


客たちは金縛りのように、呆然と彼を見つめていた。


シャルムは、かすかに微笑むと弦を一つ鳴らした。


不思議な音色が広がると同時に、割れんばかりの拍手が彼を包んだ。


 ゆっくりとイスに体を落ち着けて、弦に指を走らせる。


軽やかな旋律が、その場を満たしていく――。




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