Drop Piece
琉飛のさらさらの髪があたしの顔に触れる程の距離で緊張しないわけはなくて。
「ちちち近いよね!」
「んー、そう?俺、メンバーと話すときこんぐらいだから」
どんなグループですか。
「ねぇ、みかん」
離れたかと思うといきなり呼ばれた。
「ななななにっ?」
そんなあたしの反応が面白かったのか、またくすりと笑った。
「俺らのこと軽蔑した?」
空気が急に変わる。
「軽蔑なんか…」
「してない、なんて言いきれないんじゃない?」
う、と口籠もる。
「みんなの言ってたこともわかるんだ。だけど…」
「壱流はさ一番仕事への思いが強いから、許せないんじゃないかな。撮影を中断させるヒトたちが」
それもわかってる。
じゃないとあんな目はできない。
「あたしはね、演技って人と人との関係だな、って思うの」
どうやったらみんなと一緒に楽しく仕事ができるのかな。
「嫌だな、とか本当に怒りそうになる時だってあるけどそれを全部経験したうえで生きた演技ができるんじゃなかなって」
琉飛は黙って聞いてくれていた。
「確かに、琉飛たちが言ってたことも正しいけど」
だけど他の人も真剣にやってるってわかってほしいの。
それで、みんなと仲良くしたいんだよ?