Drop Piece
脚本家の秋山さんが待ってる会議室へと急ぐ。
「なんか…緊張してきた…ぁ」
「大丈夫よ、失礼します」
部屋の奥のイスに秋山さんは座っていた。
「こ…こんにゃ…こんにちは!」
か…噛みまくった!噛みまくったよ!!
秋山さんはくすくす笑いながら、イスを勧めてくれた。
「光ちゃん、そんなに緊張しないでいいよ」
「は…いっ!」
心臓がばくばくうるさいです。いっつもいっつも台本を貰う瞬間すごい緊張する。
「はい」
「へ?」
なんの前触れもなく渡された薄紫色の冊子。
「第一話目の台本だよ」
手に感じるわずかな重み。
表紙にしるされてる【Last Wing】というタイトル。
「最後の…翼…?」
「足を事故で怪我してサッカーができなくなった少年と姉を目の前で事故で亡くし声を失って歌が歌えなくなった少女の話だよ」
ぎゅっと台本を抱き締める。
「笠置美音、声を失った歌姫…。それが光ちゃん、君だよ」
「声を…失った…」
「だから台詞とかはないんだけど余計大変…かな」
喋らないで演技。
今までしたことのないことを求められて不安の波に押し潰されそうになった。
「あたしに…できるでしょうか」
かすかに体が震える。
初めて演じることが恐くなった。
「光ちゃんなら、と思って頼んだんだ。だから大丈夫だよ。絶対」