Drop Piece



サングラスをはずして、やっとわかった。


「水沢くん?」


ふわふわの髪が揺れる。

なんか…女の子より可愛い…。


「光ちゃん、お仕事終わった?」


首を傾げて、上目遣い。

身長はあたしよりちょっと高いくらい。


…これ、この前雑誌に載ってたなぁ…。モテテク?だっけ。

水沢利央、おそるべし。


そんなことを考えていたらかなり接近されていた。

ち……近くないかな!?


「お…わったよ?」

「ご飯、食べに行かない?」


……なぜ?


顔にでていたらしく水沢くんが、くすりと笑う。

「仲良くしたいな、って!」

「あ、…えと、あたしも仲良く…したいかな?」


溝を埋めるチャンスだよね!



その時、水沢くんの瞳をよぎった妖しい影に気付かなかった。



「やったねっ!じゃ、光ちゃんっ荷物荷物っ!!」

「あ、うん!」


あたしは急いで楽屋に入って、荷物を持った。


「あ……」

あることに気付いて、動きを止める。



「水沢くん、あたし変装するのがない…かも」

「え、ほんと?んー、じゃぁねー…あっ!」

何かひらめいたように、にっこり笑ってあたしの方に近づいて…。

ポス…ッ!

水沢くんのキャップがあたしの頭の上に。



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