手をとって



準備をして部屋を出て、階段を降りると、トーストのいい匂いがした。



「ほら、遅刻するよ!!」



言われなくても分かってますよー・・・だ。



こんなに元気だけど、うちの母さんはもう40超えてんだよな。


俺を生んだのが16年前・・・・っつーことは・・・・。・・・計算めんど臭いし、やめよ。


とか何とか言ってる間に、もう7時30分。



本当に遅刻するとマズイので、俺は大人しくトーストにかぶり付いた。


何もぬっていないトーストは、味がなくて・・・・・ほんと、字の通り味気ない。



≪えー・・・次のニュースです。先月起きた、永沢 拓朗氏殺害事件ですが・・・・警察によると、犯人は無職で1人暮らしであった、藤岡 誠氏であるということが確定した模様です。≫


・・・へぇ・・・あの事件、解決したんだ。


・・・・ま、俺には関係ないか。





「いってきまーす。」


「あ、こら!それだけじゃ栄養足んないよ!」


「へーき、へーき。」



カバンを持って残っているトーストのかけらを口に放りこむと、俺は家を出た。


ガチャン、と音を立てて、マイ自転車を動かす。




新しい空気を静かに吸い込むと、ペダルをこいで、学校へと歩を進めた。



また俺の、いつもの日常が始まったのだった。



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