青瓶奇譚


ぼくは



かすみの少し後ろを歩いていた


ロングヘアーの後ろ姿を見つめながら



今かすみの手を握ったらふりほどかれるだろうか



とか



その細い肩に手をかけたら



体を寄せてくれるだろうか



とか考えていた



図書室にいたときには



すべて分かっていたつもりの



かすみの心が



こうして学校の外に出ると



分からなくなっている自分が



情けなかった



………

< 43 / 82 >

この作品をシェア

pagetop