プリン
3 コンビニ


 とりあえず、
自分の中の怒りを沈めるために、
コンビニにプリンを買いに行くことにした。

すると、途中で、
同級生の武臼(むうす)くんに出会い、
妙なことを言われた。

「昨日の夜、うるさかったぞ。
大きな声で唄ってたろ?」

え?
そんな?
僕は、夜、大きな声で唄ってなんかいない。
何かのまちがいだよ。

「ムース~、何寝ぼけた事言ってんの。
人違いだよ~。」
と僕は言ってやった。

「いや、絶対、お前だよ。間違いない」
と武臼(むうす)くんは確信犯になっている。
武臼(むうす)くんは時々おかしなことを言う奴だから、
僕は彼にかかわることをやめて、コンビニへと急いだ。

コンビニへ着くと、プリンだけがぽっかりとなくなっていた。
こういうことって、あるもの。
何か、今日は、僕はプリンに縁がないんだな~。
コーヒーゼリーならあるのに。
でも、こうなってくると、
意地でも、プリンしか買いたくない。
と思い、
僕はコンビニから何も買わずに出てきた。

思えば、今日起きてからというもの、
僕を不機嫌にすることばかりが起きている。

不機嫌要素その①
:冷蔵庫からプリンが消えたこと

不機嫌要素その②
:武臼(むうす)くんから人違いの非難を受けたこと

不機嫌要素その③
:コンビニまで買いに来たのに、
 プリンだけが売り切れていたこと

何かが僕がプリンを食べるのを邪魔している、
そんな気さえしてくるくらい、
今日の僕は、プリンとの距離が遠かった。

明日になれば、
プリンなんて簡単に食べれるのかもしれないけど、
明日になれば、
僕のプリン熱が冷めてしまっているかもしれない。

だったら、ちょっと遠出になるけれど、
もう一つ先のコンビニまでプリンを買いに行こうか。
ふと、そんな思いまでが僕の頭をちらりとかすめたけれど、
なんとなく、今日の僕の運勢からして、
遠いコンビニまで行っても
プリンはやはり売り切れで
手に入らないのではないか
という気がしたし、
もしそうなると、
ただでさえ不機嫌になっている僕の気持ちが、
とてつもなく不機嫌になっちゃう気がしたから、
今日はとにかく
プリンを食べるのは我慢することにした。



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