お嬢様の執事様
「私は一条 冬真(トウマ)。君と陽姫の祖父にあたる」

祖父…。つまりは……、

「おじいちゃん…?」

「そうだ」

彼がフワリと微笑すると、周りがまたざわめいた。

すると、陽姫お姉ちゃんのところから戻ってきた白石さんが、おじいちゃんに気づいたのか驚愕の表情を浮かべていた。

「白石殿か」

「一条殿。何故ここに?」

二人とも殿を付けてる。
どういうことだろう?

「ねぇ、あの人って、白石グループの社長よね?」

「一条って…あの一条財閥の一条か……?」

次々と、小声で聞こえてくるその情報たちに、私は混乱していた。

そしておじいちゃんは陽姫お姉ちゃんの傍まで行って、「よく頑張った」と優しく笑って呟くと、立ち上がって周りに威圧感のある声で言い放った。

「ここにいる一条 優姫は、我が一条財閥代表取締役、一条 冬真の孫娘なり。よって、私が優姫を引き取る」

おじいちゃんは、声高らかに私を引き取ることを宣言した。

それに周りはシンッと静まりかえり、その中でおじいちゃんはまた声を放った。

「優姫に危害を加えたり、金目当てで優姫と関わりを持とうとしたならば…一条家が全力で潰す」

その言葉は、欲に呑まれギラギラと光る目を持つ親戚の背筋を凍らせるには十分だった。
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