俺はキミの生徒





それからどれくらい経ったのか分からない。

ただ、俺は柚木ちゃんが顔を上げるまでずっと抱きしめていた。


それが俺にできる精一杯の慰めだった。




「ごめん、修司。

もう大丈夫!ありがとね!」


そう言って柚木ちゃんは顔を上げた。

俺はそれと同時にもとの場所に戻った。


きっと、今日のことはなかったことにされるんだ。

だって俺は柚木ちゃんの生徒だから。


悔しいけど、でも…それしかないだろ?



『俺のほうこそ…ごめん。

もう寝るわ。


ありがと。風邪、うつってたらごめん』


俺はそう言って柚木ちゃんの顔を見ずに、寝室に入った。


そしてベットにダイブする。


そうするとなぜか胸が熱くなって。



風邪引いて、カラダが弱って、心まで弱くなってんのか?俺。


ありえないだろ。

高校生が教師に恋して、抱きしめて。


んでなかったことにされそうになって、泣きそうだ。なんて。



自分でやって寒気がする。


頭の中でそんなことを思っていると睡魔に襲われる。

やっぱり俺、ダメだな。


風邪引くとこんなに弱くなっちまう。


寝よう。寝て、忘れてやる。

俺はゆっくり目を閉じる。





まさか柚木ちゃんがこんなことを呟いているなんて夢の中の俺は知るはずもない。



「優しすぎなんだよ…修司のバカっ」














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