あなたは講師
「そ、うなんだぁ！ありがと…。」
私は今できる精一杯の笑顔でこまに伝えた。
『今原』先生かぁ……今度からちゃんと呼ぼう、なんて思いながら次の授業の準備をした。


昼休みになって、
「箸忘れた！職員室着いてきてくんない…？」
私は迷わず、いいよ！と伝え二人で走って職員室へ向かった。
「「失礼しますっ！」」
勢いよく入り、二人で叫ぶと職員室にいた先生達が一斉にこちらに向いた。
「……あっ…！」
今原先生も…こちらをびっくりした様子で見ていた。
私は脈がはやくなったことを走ったせいにして、平常心を装った。

私は知らない内に先生を見つめてしまっていたらしく、先生が少し苦笑いながら視線を机に戻した。
「なっちゃん！箸忘れた…だから、ちょうだい☆」
なっちゃんこと、英語の講師の清川なつみ先生はお姉ちゃん的存在で皆から慕われている。
「もう、<清川先生>でしよ？はい！早く教室に戻らないと昼休み終わっちゃうよ。」
職員室を出るまで横目で今原先生を見ていたけど、気付いてはくれなかった。



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表紙・目次

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