大空ヲアイス

翡翠の瞳と髪を持つ者



「隣いいかな?」

「・・・」


銀色の腰まである美しい髪をした少女は無言で頷いた

聞いてきたのは翡翠の瞳と髪をした青年


ここはマルスという国の首都で喫茶店
人が多くほぼ満席
だから誰かが隣をいいかと尋ねてもなんら不思議ではない

青年は店員に注文を済ませると少女に向かって紙をだした


「知らないか?」


そうだされたのは似顔絵
彼と同じ瞳に髪をした少女だ

彼女はそれを深海のような左目で見つめた
左目だけなのは右目には包帯が巻かれているからだ
前髪でそれを隠すようにもしている


「・・・ツバメ・・・?」


ボソッと小さな声で呟いた


「知っているのか!?」


とても小さな声だったのに聞こえていたらしい

彼は強く、彼女の肩を立ち上がり掴んだ


「・・・五年前から会っていないがな」


整った顔、美しい凛と澄んだ声からは想像できなかったふてぶてしい言葉遣い

だが彼はそんなことは気にせず居場所を教えてくれと言った


彼女は見つめる


「何故、探すんだ?」


探す理由
まさかそんなことを問われるとは思っていなかった

彼女に声を掛けた理由も若い娘は情報をよく知っているからだ

だが、答えはすぐに出た


「会いたいからだ。俺が会いたいから探している」


それを聞き、僅かに彼女の口元が微笑んだ


「クリークだ。お前の名前は?」


「エンだ」




翡翠の瞳と髪に出会った
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