地球最後の24時間
「あの、もう明日には俺ら死んでるんですよ。いまさら金なんて……」

「金が無いなら帰りな。うちは慈善事業なんかやるつもりはねえ」

「あんた頭おかしいんじゃないの?」

 早由利が横から唾を飛ばした。

「お前らこそ何を無茶言うとるんだ」

「真樹夫、無理やり持っていこうよ!」

 その考えも一瞬頭をよぎったが、狂気が渦巻く中、老人のあまりに日常的なふるまいが逆になつかしく、そんな気も失わせた。

「あなたは地球が滅亡するって信じてないんですか?」

 いきり立つ早由利を制して静かに語りかけてみた。

「いや、たぶん助かりはせんだろう」

「じゃあなんでいまさら……」

「じたばたしとるのか、わしがお前らに聞きたいわ」

 老人は俺の言葉尻をとらえ、二の句を継いだ。
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