地球最後の24時間
 フロントタイヤが逃げ惑う暴徒を引っ掛けてバランスを崩すと、心臓を握りつぶされるような恐怖心がこみ上げる。

 進路がわずかに右に逸れ、途端に唸りを上げる機関砲弾がヘルメットを掠めた。

「があっ!」

 衝撃波をまとった弾丸は瞬時に耳元を砕き、その欠片を舞わせた。

 ヘルメットが無ければ鼓膜が吹き飛ぶくらいでは済まないだろう。

 今度はステアリングが別の人間を引っ掛ける。左右に振られるバイクを極限まで研ぎ澄ました集中力で立て直してゆく。

(もう少し……)

 目と鼻の先の暗闇に飛び込めば弾幕から逃れられる。そう思った次の瞬間、今度は後部タイヤから激しいショックが伝わった。

(……っの野郎!)
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