空の少女と海の少年
授業中なのだろう
校舎の中はとても静かだった
ロビーを抜けた先には
様々な色に光る魔法陣のようなものが
規則正しく並んでいて
春と陸は目を輝かせた
「~~っ!なにあのキラキラ!!」
「ばかか楠木!見れば分かるだろ!魔法陣だよ、魔法陣!!」
「まっ魔法陣!!すごい!かっこいい~!!」
「ああ、すいません」
「気にしないでもらって大丈夫です」
わーきゃー煩い2人に
呆気に取られていた職員に
海斗と奈々が冷静に伝える
職員は気を取り直して
こほん、と咳払いをする
「そう、あれは魔法陣。色毎にどこに繋がっているか分かるようになっています。例えば…あの青は教室、緑は図書館といった様に。そしてあの赤が職員室よ」
職員に続いて赤い魔法陣の上に立つと
目の前に魔法陣と同じ赤い文字が浮かんだ
「学園長室に触れて」
その言葉に従って
"学園長室"の文字に触れると
足元の魔法陣の輝きが増した
驚いて目を瞑った春だったが
ゆっくりと目を開けてみる
「うわあ…!」
そこは先程までのロビーではなく
壁が本棚で埋め尽くされた部屋と
「ようこそ、学園へ」
大きな窓を背に立っていた人物が
一歩ニ歩と歩みよってくる
それはスーツを着た若い女性だった
「私が学園長の華山梨華よ。よろしく、新入生の皆さん」