空の少女と海の少年


──過酷なトレーニングを
終えたS組一同は
星が瞬く夜空を眺めながら
学園寮の屋上にある
露天風呂に浸かっていた


「ぷはあ〜……気持ちよす〜。」

「癒されるわね。」

「見て見て奈央ちゃーん!犬掻きっ!」

「蘭甘い!うちは華麗にクロール「止めて。」

「「……はーい。」」


由紀に言われると
泳ぐのを止めて
静かになった2人

しばらく無言で
疲れを癒やしていたが
おもむろに奈央が口を開いた


「春と奈々ってさー。リール……だっけ?そいつ倒した後って楽園だかなんだかって場所で暮らすの?」

「へ……?」

「考えてもみなかったわ。……そうね…そうなるのかしら。」


しばらく考えて
奈々がそう答えると
奈央は月を眺めながら
そっか。と呟いた


「…じゃあリールを倒したら春ちゃんと奈々ちゃんとはお別れなの……?」

「そうだね。」


不安そうに肩に頭を乗せた
蘭の頭を由紀は優しく撫でた


しんみりした気まずい空気が流れると
奈央が息を吐いて背筋を伸ばした


「あーっ!この話やめやめっ!来週から第二試練なんだから気合い入れてかなきゃ!つーかのぼせたわっ!うち先上がるわー。」


あっついあっつい
と手で顔を扇ぎながら
奈央は脱衣場に消えていくと
由紀は小さく溜め息をついた


奈央のばか
寂しい時に強がる癖
直ってないよ


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