空の少女と海の少年


目の前の光景を見て
奈々と陸は信じられない
と言うように顔を見合わせた


「海斗……何があったのよ。」

「楠木が能力に目覚めてから、ずっとあんな感じだったぜ。」


陸の言葉に奈々は少し考えた

そしてある考えに辿り着くと
面白そうにクスリと微笑んだ


「……ああ。分かったわ。」

「さすが奈々だぜ!教えろよっ!」

「嫌よ。陸に教えたらつまらないわ。」


落ち込む陸を放置して
奈々は前を歩く海斗を見た


今まで守られるだけだった春
今まで守ってきた海斗

だけど春が能力に目覚めたら
海斗が春を守る必要はなくなる


「それが怖いのね。」


春が離れていってしまいそうで

自分を必要としなくなる日が
いつか来るんじゃないかって


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