空の少女と海の少年


──キンッ


ソウの大剣から繰り出される
力強く正確な攻撃を
春は双剣を見事に使いこなして
巧みにかわしていく

今まで一方的だった戦いも
もう互角になっていた

無傷だったソウの体に
切り傷がだんだんと
増えていくのと同時に
春の体の切り傷も
更に多くなっていく


『やるじゃねえか。だけど俺は負けないぜ。』

「春も負けない!『風樹』」


風が起こって纏わりつくと
ソウの体の動きが一瞬鈍った

春はその一瞬を見逃さなかった

ソウの喉と大剣を握る手首に
剣を突きつけると
春以外の全員が息を呑んだ

一歩でも動けば喉を切られる

ソウは深く溜め息をついて
大剣を地面に突き刺した


『見事だ春。俺の負けだ。そして……』


ソウが目を向けた方を見ると
何もない空間が光り出して
4人の仲間達が現れた


『5人全員第七ステージ合格。全てのステージをクリアした為、第二試練は合格だ。』


ソウが優しく微笑み
戦いを見守っていた神々も
5人に拍手を送った


「みんな……。」

「春のこと信じてたわよ。」

「やったな楠木っ!」

「春ちゃん頑張ったね。」


奈々と陸と蓮の言葉に
笑顔で答えると海斗と目が合った

するといきなり
海斗に抱き締められて
頭を撫でられた春は
安心して思わず涙を流した


「頑張ったな。」

「……うん。」


短い一言だけど
それだけで海斗の気持ちは
春にたくさん伝わった

春は一気に流れてくる
涙を隠すかのように
海斗の胸の中で思い切り泣いた


個人戦だったが
常にはひとつだった

乗りきった第二試練は
確実に5人を強く成長させた

肉体的にはもちろん
精神的にも成長した5人は

疲れ果てて
そのまま眠りについた


_
< 479 / 652 >

この作品をシェア

pagetop