空の少女と海の少年

◇最後の試練



──水着に着替えた春は
ベランダから飛び降り
ふわりと浮きながら
柔らかい砂浜に着地した


「春ちゃん!?」

「あれ?蓮、どうしたの?」

「どうしたのじゃないよ!危ないでしょ!あんな高い所から水着で飛び降りるなんて!」


ロビーから出て来た蓮は
春が怪我をしていないか
丁寧に調べている

春はハッとして
そんなことより!と
部屋から見た海斗の事を話した

話を聞いた蓮は顔をしかめて
部屋での海斗の行動を話した


「……じゃあ海斗は¨海の神殿¨に行っちゃったの?」

「僕達も行こう。海斗の入った所から行けるはずだから。」

「…うん……。」

「春ちゃん!」


悲しそうに目を伏せる春に
急に怒鳴った蓮は手を上げた

叩かれる!!

春は痛みに耐える為に
目を瞑ったが
叩かれるのではなく
髪をくしゃりと撫でられた

目を開けると
優しく微笑む蓮の
空色の瞳と目が合った


「春ちゃんが悲しいと僕まで悲しくなる。だから……ね、笑ってよ。」

「……うんっ!」


太陽のような笑顔を
蓮に向けると同時に
唇に柔らかい感触を感じた

春は真っ赤になって
とっさに唇を押さえた


「キ…キス……!?」

「ごちそーさま。」


ペロリと唇を舐める蓮は
悪戯な笑みを浮かべると
更に真っ赤になった春は
いーやあーっ!!と
叫んで海に走っていった


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