空の少女と海の少年


「ウ…ウタぁっ!なにすんのーっ!」

『ごめんね春ちゃん。後で説明するから許してね。』

「許すけどー……。」


許すけど嫌。

ぷう。と頬を膨らませる春に
苦笑いすると、カノンに視線を戻す


『力を取り戻したとは言え、風神だ。我の敵ではない。』

『そうやって甘く見ると、痛い目見るんだよっ!』


ウタは言葉を言い切ると弾を放った

放たれた銃弾を避けながら
ウタとの距離を詰めるが
風圧が重く体にのしかかり
思うように進むのは困難だった

その間にも次々と放たれる銃弾


『こざかしい!』


地面を強く蹴り、上に跳ぶと
体勢を直してウタに切りかかる

素早い動きにウタはその場に固まるが
口角を上げて言葉を紡ぐ


『鳥籠の鳥』

『っ!!』


バンっと体を叩きつけるが
カノンの目の前には何もない

いや、違った
見えないだけで、カノンは完全に
風で出来た箱に閉じ込められていた


それを見ていた春は
思わずガッツポーズをする


「やったあっ!」

『まだ閉じ込めただけ。それに……』


濃縮した闇の力を内側からぶつけると
頑丈に出来た風の箱にはヒビが入り
パリン、と乾いた音と共に割れた


『そう簡単にいく相手じゃないんだよ。』


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