空の少女と海の少年


すでに体勢を整えていたカノンは
ウタの言葉に思わず笑った


『お前は戦闘向きではなかった筈だ。我と戦えるのか?』

『僕ら神は空と海を守る者だよ。君程度と戦えなくてどうするんだい?』

『ほう……。』


¨君程度¨
我も随分舐められたものだな。


面白そうに微笑むカノンに
視線を投げかけられ
リールはふぅ。と息をついた


『はいはい。手は出さないから、好きなだけ暴れていいよ。』

『ありがとうございます。』


リールの許可を得ると神経を集中させ
更に力を強いものへと変化させる


『っ……!』


その瞬間に、カノンの纏う力が
倍以上に膨れ上がったのを感じて
ウタの額を冷や汗が流れる


このままじゃ駄目だね……。


ちらりと横を見ると
光の力でサラを癒やす春と目が合う

春もカノンの力の変化に気付いたらしく
不安げな表情でウタを見つめる


「ウタ……。」

『春ちゃん、ちょっと力ちょーだい。』

「へ?…ふっ……!?」


春は訳も分からずに目をぱちくりさせる

何故か、ウタにキスされている


……ここに海斗さんいなくてよかった。


いたらカノンを倒す前に
海斗に氷の彫刻にされていただろう

春そっと唇を離すと
もう何百年も感じていなかった
体に力が満ち溢れる感覚に
思わず笑みが零れそうになる


それとは反対に
顔を歪めたのはカノンだった


『……本来の力を取り戻したか。』


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