空の少女と海の少年


ウタは春を守るようにして地上に降り
鎌を構えるリールを睨み付けながら
春にしか聴こえないよう小さな声で話した


『今から春ちゃんとサラを城に送る。そして、僕にやったようにみんなに力を与えほしい。』

「っ!?でもそしたらウタが!!」


反論する春の肩に手が置かれる
振り向くと、呼吸を整えながら
周りの状況を把握するサラが立っていた


「サラ!体は大丈夫なの!?」

『……大丈夫だ春、ありがとう。ここは私達に任せろ。』

『サラ……。駄目だよ、君はまだ完全じゃない。』


ウタが冷静に言うと
サラは春の唇を奪って
余裕そうな笑みを浮かべた

二度も前ぶり無しにキスされた春は
呆然とその場に立ち尽くしている


少し春を不憫に思いながら
ウタは視線をサラに戻した

その瞳は真剣そのもの


『私はお前に助けられた借りがある。返さないと気が済まないぞ。』

『……分かったよ。じゃあ。』


ウタが春の方に右手を向けると
フッと春の姿がその場から消えた

風の力を使って城に送り込んだのだ

そして、春の事を気遣う暇もなく
2人はすぐに左右に別れて跳んだ

2人が立っていた場所は
巨大な風によって花畑が抉られる


風を起こしたのは
怪しく微笑むリールだった


『……邪魔しないで欲しかったな。』

『喜べ。これからもっと邪魔してやるぞ。』


サラとウタはニヤリと笑った


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