スタッカート
ここで話していると邪魔が入るだろうから―
そう言ったトキが私を案内したのは、「資料室」と札のかかった、埃っぽい部屋。
相当古いのか、たくさんの傷が刻まれた木製の棚からは収まりきらずに溢れ、床に置かれたものは雪崩を起こしているプリントを、踏まないようにと慎重に歩き、奥へ奥へと進む。
前を歩くトキが、構う様子無く踏みつけたせいでグシャグシャになってしまったプリントが、何だか痛々しかった。
トキは、時折後ろを振り返ると、プリントを避けながらつま先立ちでついてくる私を、怪訝そうに眉間に皺を寄せて見つめてくる。
こっちとしては、紙をそんなふうに扱う輩のほうが理解できないのだけれど。
やがて奥のほうから錆びたパイプイスを二脚抱えてきたトキが、散らばるプリントを足で払い、イスを置いて、座れ、というように無言で顎を釈って、こちらを見てくる。
ゆっくりと、シートに腰を下ろす。
ギシッという、耳障りな音が耳をつついた。
私が座るのを確認すると、トキも真正面に置いたイスに腰掛ける。
こちらを真っ直ぐに見つめてくる視線を、痛いほどに感じる。
深く息を吸い、ゆっくりと吐き出す。
伏せていた目を上げて、鋭い瞳を真正面から見る。
口を開いて
―その過去を、すべてを話した。